「へえ」と「あぁ」

私は記事を書くのが仕事です。
それは本かもしれないし、雑誌かもしれないし、パンフレットやWebの記事かもしれません。

世間にはジャンルを問わずライターあるいは記者という記事を書く仕事をしている先達がたくさんいらっしゃいます。その人たちがどう考えて仕事をしているのかはわかりません。ただ私はこう考えていますよ…というお話。

記事というのは読者の知らないことだけを延々と並び立てて「へえ」と言わせるものだと思われているかもしれません。

書いてる俺はこんなことまで知ってるんだぜ。教えてやるよ。ほらどうだ「へえ」って思ったろ?

こんな感じで書いていると思われているんじゃないのかなあと。

そういうライターもいるかもしれません。でも私はそうは考えていません。他人を「へえ」と言わせ続けるってのは大変なことです。自分が誰よりも情報と知識を持っていなくてはなりませんもの。

この考え方で勢い余って”自分で記事作ってしまう”、”マイナーなところから他人の記事を拝借する”、”むしろ自分で事件から作ってしまう”ということをやっているのが某新聞業界なわけですけどね。本来、事実を伝えるのが仕事であるはずの業界で記事を書く人間からして「へえ」を欲しているというのがいただけません。「へえ」ほしさに「ふーん」になってしまっています。

私が個人的に目指しているのは「へえ」ではなくて(もちろん「ふーん」でもなくて)「あぁ」です。

あぁ、そういえばそうだね。あぁ、そういう言い方や考え方もできるね。

新しいものを届けることではなくて、事実の再確認なんですね。書いているのが技術系の記事ですし、そりゃあひとつやふたつの「へえ」はあるかもしれないけれど、すべてが新発見になるような記事は私には書けませんし、書きたいとも思いません。

でもたくさんの「あぁ」は散りばめてみたい。

お手すきの方はそこらへんのメモ用紙に猫を描いてみてください。別に写実的でなくてもいいです。ただし隣の席にいる人が「猫だね」といってくれるものを描いてください。

猫がかけたら次に犬を描いてみてください。

実は犬って難しいんですよ。

犬が描けたら誰かに見せる前に、馬を描いてください。

さてそのまま次に鹿を描いてください。鹿は雄ではなくて雌でお願いします。

絵心がないと自負されている方の場合、馬と雌の鹿と犬の区別が付かなくなると思います。

これが私が自分の原稿に求めている「あぁ」です。あまりやってみようという気も起こらないようなことで、やればできるだろうとたかをくくっていることが、やってみたら案外難しいっていうやつです。

では犬の描き方をお教えしますね。最初に…

これが園田のやり方で、園田の論法です。

もちろん簡単にできてしまう人もいます。でも簡単にできてしまう人は、この話を誰かにしてみたらいいんです。昼休みでも酒の席でも、家に帰って子供に話したっていい。それでうまく描けない人がいたら、描き方を教えてあげればいいじゃないですか。「あぁ」の伝播です。

この方法は冗長だって言われて、性急な皆さんにはウケがよろしくありません。だから私の記事は昔から好き嫌いがハッキリ分かれます。

でもそれでいいんじゃないかなって。最近になって開き直っているわけです。必要とされていれば仕事は来るし、時代に取り残されたとすれば仕事が来なくなるだけです。

そこで慌てて「へえ」のためにねつ造する必要もないし、そんなことを欲するようになったら物書きの資格なんか多分ないんですよ。

少なくても私は今は小説家ではないわけで、現実にそこにあるものについてしか書いてはいけないというルールの上で仕事をしています。

こんな説明で、ライターと作家は違うんだってわかってくれたかい?

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